2011/10/02

直す歓び



深くなった革の色味や美しい艶、キズやくすみなど何年も生活を共にしてきたという時間の重みを携えて、お修理の為に d'antan に帰ってきたもの達には堂々とした貫禄が備わっています。そのものとの思い出や様々なエピソードを聞かせていただくと大切に扱ってくださっていることが手に取るように伝わり、少し照れながらも誇らしい表情に私達もとても嬉しくなり話は尽きません。職人によって息を吹き返した修理品達が帰りを待ち詫びた主人の元でまた新たに時を重ねていく・・・受け取った持ち主のほっと安心したような笑顔にはまるで旧友を迎え入れるような優しさと、お修理を重ねながらもひとつのものを大切に使い続けるという強い信念のようなものが感じられます。さらに使い込まれ、ますます美しくなった姿を楽しみに思うと同時に、変わらずに使い続けて下さる方がいる限りいつまでもその気持ちに答えられる店でありたいとお客様を見送る度に思うのです。

d'antan