2011/09/26

静かに時を刻むもの



異国の地で作られ、どこかの倉庫で眠っていたであろうデッドストックのアクセサリー。時を経ることでその魅力はさらに増してゆきます。先日フランスで買い付けてきた1930年代のアイボリーのイヤリングを見たお客様が「これはピアスよりイヤリングの方が素敵ね。」と仰ってくださり、その言葉に深く頷きました。というのも今のものにはない手間のかかる丁寧な細工が金具には施され、素材の良さと合わさって、そのイヤリングの持つ上品な美しさを見事に言い表して下さっていたからです。ガラスパール特有の輝きを持つネックレス、随所に工夫の見られるコームや髪飾り、色鮮やかなベイクライトのリングやアンティークのダイヤモンドリングなど現在では使われていない素材や、その時代だからこそ叶ったデザインのアクセサリーは私達より多くの年月を過ごしてきたのだと思うと不思議な感慨を覚えます。そしてそれぞれの持ち主の元でまた静かに時を刻み始めるのです。

d'antan